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2014年5月の記事
05/25(日)
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05/21(水)
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>>2014年5月の記事一覧

木工・浄土台

今回は、伝統的工芸品として製作されている仏壇の浄土台に挑戦してみた。
複雑な加工を施す猫戸の框枠やその裏当てで使う出面木弧(モッコ)と蒔絵板、指掛けの付いた錫杖付き大引出しなど、家具に無い、そこそこの複雑さがあり、代々受け継がれて来た伝統的な構造で設計されている。


猫戸框の構造はフレームと出面モッコ、引手金具と蒔絵板からなる。

まだ、宗教物に対して初心者だった頃、デザインや構造などの開発設計を任され、宗教や伝統の流れの中での決まり事に拘束されてしまい、新たな製品生み出す事の難しさを知った。

例えば、形状もさることながら、引出しのスラセは敷居に傷を付けないよう、2ミリ高い設計であることや、下地や漆などの塗代(ぬりしろ)を産地に合わせた設計で行うなど、積み上げる階層や構造によっては予め5ミリ以上も差し引いた設計にしなければならない部分もある。
そんな決まり事をまとめて作り上げた、木地設計に関する手順書の項目は数百にも及び、産地ごとの分類まで含めると数千を超える。

仕上げ塗りが施されていない木地の段階では、家具などと異なり、仮組するとグラグラするほどゆるい設計となるが、仕上がった段階では塗料が乗り、きっちりと収まったホゾに縦長で重量ある胴体を支える部分が輸送中に壊れないよう、胴締めなどと呼ばれる神輿にも似た独特の縄締めまで施され、ビクともしない頑丈な仕上がりになる。
仏壇は、伝統の中で生みだされてきた、匠と呼ばれる先人達が作り上げた知恵の結晶と言える。

浄土台組立完成図
浄土台集成単位の展開図



大引き出しの錫杖部分は前框にテーパを付けて繰り抜いたもの。その後、指掛けなどの追加加工が施され再び収められると鋸代分が差し引かれてテーパの勾配分ほど出面として飛び出る仕組み。寸分の狂いもない精巧で緻密な加工が必要である。



今回の作業結果から、直接SketchUpで立体図面を起こして作業するより、線の概念だけで済む使い慣れた二次元のCAD(jwwや、木工専用cad)で手っ取り早く設計し、後でSketchUpに読み込んで加工した方が簡単で効率が良いように思えた。
(これは慣れだけの問題かもしれない。)


円弧端点の伸長

時折、実に単純な作業にもかかわらず操作に悩む事がある。
下の図を見てほしい。

目的とする図形
現在の図形

図のように、円弧の前方に引かれた直線まで途切れた円弧の両端を伸ばしたい場合、現在では「2Dツール」のような便利なプラグインがあるため簡単に実現できてしまうが、まだまだ経験が浅く発想の乏しい初心者としては、「2DToolsプラグイン」に出会うまで、下のような面倒な手順を踏んでいた。

(1)端点を伸ばしたい円弧をグループ化する。
(2)円ツールを選択し、円弧の中心を推定機能を使って探り、円の中心として固定。
(3)円弧のどちらかの端点に吸着させて同じ経の円を作成。
(4)直線からはみ出した余分な円弧を削除し、新しく描いた円弧をグループ化し、非表示にする。
(5)最初にグループ化させておいた円弧を選択し、消去。
(6)直線まで延長した円弧を表示して作業完了。
つまりは元図を上からなぞった書き換えである。

作業手順動画




次に「2D Tools」プラグインを利用して同じ作業をした場合、僅か数工程で済んでしまうのが解る。
巨大な円弧や、いくつかの円弧を接円して出来た楕円状の端点延長などはとても役立つプラグインである。

2D Toolsを使って作業した場合の動画


「2D Tools」プラグイン入手先
[Plugin] 2D Tools
YouTubeによるツールの説明動画


fillet.rb (フィレット・プラグイン)について

繋がったエッジに簡単にフィレットできる便利なプラグインがある。
fillet.rbで、使い方はすごくシンプルで予めフィレットするエッジを選択しておき、ツールを起動し、半径を入力してエンターするだけのもの。

閉じたエッジも空いたエッジも条件(2本以上交差しないこと)を満たす限りフィレットできる。
(※エッジより設定した半径の方が大きい場合、その延長線上に円弧が描画される)









個人的に英語が苦手なため、誤訳覚悟でGoogleなどの翻訳サイトを利用し、メッセージ部分のみ添付ファイルのように日本語化して利用している。


MakeFace での作業について

「FreeDXF」で取り込んだ図面を立体化する際、「MakeFace」を利用する事で効率よく作業ができる。

【読み込む図面が単純な場合】
(1)「FreeDXF」で図面を取り込む。
(2)メジャーツールで二点間を測り、実際の図面寸法に合わせる。
(3)読み込んだ図面上で右クリックし、表示されたコンテキストメニューから「分解」を二度実行し、図面全体のグループを解除する。
(4)作業の邪魔になる寸法線や寸法を極力消去する。
(5)「MakeFace」を実行し、閉じたエッジすべてに面を張る。
(6)立体化する面を選択し、移動ツール+Ctrlキーで空いた作業空間にコピーを取り、立体化し、必要な単位だけグループ化する
(7)必要な部品だけ(6)を繰り返し、完成するまで組み立てる。

下の動画は、実際の作業風景である。
完成までの時間は再生時間そのままであり、同じ作業をLightWaveで行った場合、30分以上はかかりそうである。

別ウィンドウの大きい画面で再生



●動画で作業したパーツは、伝統的な京型仏壇の中腰と呼ばれる三割で彫刻が施される装飾部分である。

移動ツール+Ctrlキーでコピーを取って作業をしているのは、より複雑な図形を処理する場合、エッジを重複(共有)して利用している場合があるため、元の図形を残した方が問題が少なく、効率が良いからである。