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2014年5月の記事 prev >

木工・浄土台

今回は、伝統的工芸品として製作されている仏壇の浄土台に挑戦してみた。
複雑な加工を施す猫戸の框枠やその裏当てで使う出面木弧(モッコ)と蒔絵板、指掛けの付いた錫杖付き大引出しなど、家具に無い、そこそこの複雑さがあり、代々受け継がれて来た伝統的な構造で設計されている。


猫戸框の構造はフレームと出面モッコ、引手金具と蒔絵板からなる。

まだ、宗教物に対して初心者だった頃、デザインや構造などの開発設計を任され、宗教や伝統の流れの中での決まり事に拘束されてしまい、新たな製品生み出す事の難しさを知った。

例えば、形状もさることながら、引出しのスラセは敷居に傷を付けないよう、2ミリ高い設計であることや、下地や漆などの塗代(ぬりしろ)を産地に合わせた設計で行うなど、積み上げる階層や構造によっては予め5ミリ以上も差し引いた設計にしなければならない部分もある。
そんな決まり事をまとめて作り上げた、木地設計に関する手順書の項目は数百にも及び、産地ごとの分類まで含めると数千を超える。

仕上げ塗りが施されていない木地の段階では、家具などと異なり、仮組するとグラグラするほどゆるい設計となるが、仕上がった段階では塗料が乗り、きっちりと収まったホゾに縦長で重量ある胴体を支える部分が輸送中に壊れないよう、胴締めなどと呼ばれる神輿にも似た独特の縄締めまで施され、ビクともしない頑丈な仕上がりになる。
仏壇は、伝統の中で生みだされてきた、匠と呼ばれる先人達が作り上げた知恵の結晶と言える。

浄土台組立完成図
浄土台集成単位の展開図



大引き出しの錫杖部分は前框にテーパを付けて繰り抜いたもの。その後、指掛けなどの追加加工が施され再び収められると鋸代分が差し引かれてテーパの勾配分ほど出面として飛び出る仕組み。寸分の狂いもない精巧で緻密な加工が必要である。



今回の作業結果から、直接SketchUpで立体図面を起こして作業するより、線の概念だけで済む使い慣れた二次元のCAD(jwwや、木工専用cad)で手っ取り早く設計し、後でSketchUpに読み込んで加工した方が簡単で効率が良いように思えた。
(これは慣れだけの問題かもしれない。)


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