仏壇・上置木地モデルの制作
SketchUpをやり始めてひと月余りが過ぎた頃、操作のコツをつかみ始めたのを機にまるまる一本の仏壇木地モデルを制作する目標を立てた。
コンセプトは、数多くのプラグインが公表されている中、なるべく基本機能のみで制作してみる事。
(と言うより、戸惑うほど少ないSketchUpの基本コマンドのみで、家具以上に複雑な仏壇の木地をすべて制作できるものか検証してみたかったのと、プラグインの多くが苦手な英語で制作されており、翻訳しながら利用するのに難義しそう!と言うのが本音だった。)
■目標として制作対象に取り上げた仏壇の図面。
■図面をもとに実際にSketchUpで制作したモデル。
■モデルを下から見たもの。台の補強材などが見える。
■SketchUpのX線モードで全てのパーツを透過して表示したもの。
■木地裏側から展開した図をX線モードで表示したもの。
結果は目標に掲げたSketchUpの基本的機能だけですべての部品を制作する事はできるが、作業の効率化を図るため、専用の2DCADでで作図した図面を取り込む「DXF」プラグインや、描画した線を容易に編集できる「2Dツール」と呼ばれるプラグイン、立体の角を丸める「ラウンドコーナー」、左右対称に図形を作れる「 ミラーツール」など、必要最小限のプラグインを揃えた方が作業効率化に役立つ。
とは言え、時間さえ惜しまなければSketchUpで作図までの過程を含め、仏壇の木地制作に於いてはすべて出来てしまう。
今回制作した木地モデルは、仏壇では京型と呼ばれる一般的な小型の上置タイプで、現代的な仏壇が普及する中、現在でも日本全国で広く製作が続けられている。
モデルは、隅木に至るまで細大漏らさず部品を組み入れた100%の完成モデルで、当然の事ながら三面図でなければ制作出来ず、集成単位で30枚ほどの図面に達する。
基本的な木地の構造は同じでも、中に取り付ける彫刻や屋根、金具、外装として仕上げる塗り蒔絵などを施し、特有の個性を出す事により、産地を特徴づけるモデルとして仕上がる。
川辺などで利用されている屋根木地の一例を下に掲げた。
■上の木地に使用される本山屋根の一例
■上の木地に使用される西屋根の一例
仏壇の構成は思いのほか複雑で、この他にも奥欄間やその関連で必要な雲型や天人、花鳥や仙人などの彫刻、他にも須弥壇脇の団扇彫刻(上段彫とも。格狭間の意匠に近い形状が用いられる。)や中腰(ケコミ)三割彫刻や欄間彫刻、須弥壇上に配置するコーランなど、宗派に合わせて様々なパーツが取り付けられ、塗りや金箔などが施された後、框や柱など所定の箇所に金具が取り付けられ、数ヶ月の期間をかけて豪華絢爛に仕上げられる。
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