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木工・木地パーツ・繰上げ天井

【仏壇の木地・繰上げ天井の話】
寺院などで見かける繰上げ天井は、少し高級な仏壇の内部でも見ることができる。
もともと寺院の内陣を主体に再現した仏壇の(最近では少し傾向が変わってきたが)宮殿の天井部分がそれにあたる。

小型から大型まで、産地によって実に様々なタイプの仏壇が存在するが、すべてのパーツが、宗教や古建築に基づき、実に細かな取り決めのもと、携わる木地士によって設計されてきた。
(大型で複雑な構造の仏壇でも、基本的にほぼ同じ構成をとる。)

三十年近く前から書き起こした図面は共通フォーマットとも言えるdxf形式に変換していたため、LightWaveを使用し、数百を超える部品を3D化してきた。
もう少し早くSketchUpの存在を知る事ができていれば、この数倍の作業をこなしていたかもしれない。



実際の読み込み時に表示されるダイアログは英語だが、すべての文字と寸法が必要なため、作業中の図面はスクリーンテキストを「Yes」にして読み込んである。





FreeDXF v057で過去の図面を読み込み、立体化作業中の様子





完成後、関連するパーツと組合わせていく。





作成した碁やエビの構造拡大図。この上に更に細い格子の組子が配置される。



エッジに対して垂直に面を配置するプラグイン

Perpen.jpg
【Perpendicular Face Tools】

3Dの空間に好きな角度で書き込んだエッジに対し、常に垂直に面を配置できるプラグインが紹介されている。
線で描いたスプリングなどは微妙な傾斜角度を持つため、軸に対して垂直に面を配置するのは案外難しい。

"Perpendicular Face Tools" プラグインで上記の問題が簡単に解決する。
添付ファイル 添付ファイル


基礎の覚え書き2:四角錐と円錐

【肝はフォローミーツールの使いこなし】
当初、簡単な三角錐や四角錐、円錐などの単純なオブジェクトすら、その作成方法に頭を悩ませる事が多かったが、これまで他で培ってきた手順の既成概念を持たず、思いつくまま試行することで色々見えてくるSketchUP独自の機能もあった。

仮に、四角錐を作る場合を例に、

【例1】
1...長方形ツールで必要なサイズのボックスを描く
2...線ツールで描いたボックスに対角線を引く
3...移動ツールで対角線の頂点(交点)を摘んで必要な高さに持ち上げ、立体化する(この状態では底に面が貼られていない)
4...任意の底辺に一本のエッジを追加し、底の面を貼って完成

※ 出来上がった四角錐の面が反転している場合はさらにオブジェクト全体を選択状態にしておきコンテキストメニューから「面を反転」を選んで処理を完了させる。




※上の実際の作業手順を、左上から右下方向に順に掲載




【フォローミーを使って円錐を作る場合】

様々な手法があるが、円錐を作る単純な例。

【例2】...次に続く


基礎の基礎の覚え書き

SketchUpの使い方は数多くのサイトで紹介されているため、あえて覚え書きの必要がないかもしれないが、自らが覚えるためと、その都度探す手間を省く意味においても、必要最小限、記録する事にした。

シンプルなツール群の中でSketchUpを格段に使いやすくしてくれている、固有の機能が推定エンジンと呼ばれる機能だが、しっかりした基礎と応用を身に付ける前に少しでも楽をしようと数倍の苦労をしてプラグイン探しに陥ってしまっている。


個人的に利用頻度が高い拡張メニュー。複雑な処理以外はほとんどこの範囲で足りてしまう。



【推定エンジンによるヒント表示】

「端点」、「中点」、「交点」、「面上」、「エッジ上」
「緑の軸上」、「赤い軸上」、「青い軸上」、「点から軸上」、「エッジに並行」、「エッジに垂直」
など、マウスでモデル上を動かすと、該当する推定点でヒント表示される。
アイデアと機能が一体化され、操作のコツさえ掴めば効率の良い作業が見込まれる。


SketchUPで作図中、特に便利と感じる機能が数値パラメータの入力の際に、「/」や「*」、「s」などのオペレータとオペランド?を兼用して記述できることで、通常の数値入力と違い、多角形や円の作図時にエッジの分割数を数字の末尾に「s」を付ける事で指定でき、エンティティーの等間隔配置では「/n」(nは数値)を、またn個(回)同じ操作を繰り返すときは「*n」などと指定する事ができ、作業の効率化が図れる。


これまでの3D作品

図面の立体化はその視認性を高め、勘違いによる加工ミスを防止するのにも役立つ。

過去の経験では、複雑な三面図を現場が読み違えてしまったため、取り返しがつかないほど高額な損失につながってしまった事もあった。

密度の高い複雑な図面になるほど読み違えによるミスのリスクは高くなり、頭の中で立体的に組み立てる想像力や、図面を読み解く解読力も要求される。

ワイヤーフレームだけで構成する図面が複雑化すると仏間に収まる程度の大きさの仏壇でも1万本以上の円弧と線で密集する。


下は、書き溜めた二次元の図面を、LightWave3Dで立体化するときの様子。

Windows95の時代から始まった3D化は Soft F/X の購入と同時に始まり、レンダリングした際のイメージのわかりやすさと、そのリアル感に感動した。
後に、ドングルの必要なLightWaveに3D化の作業を引き継ぎ、現在まで利用してきた。


■jwwCADによる二次元の図面


■LightWaveによる図面の立体化作業。
モデリングの流れとしては、DXFの2D図面をインポート→尺度を合わす→各パーツごとレイヤーに区分けして立体化→保存
これを一機種すべての部品に行い、最後に保存した部品を一つづつインポートして全体を組み立てる。


■ワイヤーフレームでのパース表示


■ウェイトシェイドでのパース表示
陰線処理され、この時点で出来上がりのイメージがよりリアルになる


■組み立てたモデルをLightWaveのLayoutでレンダリング
表面だけを着色した処理だが、実際の出来上がりとさほど差異はない。


これまでの3D化は、2Dよりはるかに辛く長い作業になる傾向が強かったが、SketchUpの登場で一気に払拭されたように感じる。
事実、同じ部品をモデリングしてもLightWaveの半分の時間もかからない。


Sketchupのプラグインについて

二次元での図面書きに慣れていたため、Sketchupの描画コマンドの少なさに戸惑ってしまったが、慣れるまでは様々なプラグインを探しては追加して補う事結果になってしまった。

これまで多用してきたコマンドは原点の移動や、補助線、補助点、線の分割、オフセット(または複線)接円弧など様々だったが、Sketchup独自の推定機能がこれらの補助機能に取って代わる事を知り、今では必要としないほど便利な事がわかった。

・・・とは言え、これ等のプラグインを利用する事で作業効率化の手助けとなり、大きなメリットがある。

2Dで作図したこれまでの資産を活用できるFreeDFXのプラグインや、二次元の感覚を手助けてくれる2D toolsなど、必要になるたび追加していけば良いと思う。

【2Dtools_4.9.zip】



他に、ラウンドツールや、ベジエ曲線、ブーリアンなどのプラグインが存在し、作業効率化に大きく貢献してくれそうである。
以下は現在までにSketchupにプラグインして利用しているツール群である。
サイトに無料のユーザー登録をする事でダウンロード可能となる。


BZ_Toolbar(ベジェ曲線ツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=13563


【extrudeTools_20110529.zip】

ExtrusionTools(押出しツール)



OSCoolean(ブーリアンツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=14773

オブジェクトを右クリックする事で利用できるコンテキストメニューの「面を交差」でブーリアン演算のかなりの代用ができるが、これがあると一瞬で処理が終わるため便利。

物理演算をシミュレートしてくれる「SketchyPhysics」プラグインとの干渉がみられ、個人的なシステムの問題なのか、原因は不明。

「2D_Tools」プラグインのフィレット部分でも干渉がみられる。(同じコマンド内で、ラウンドだけに症状が現れ、ベベルは正常に機能する。)これ等2つのプラグインの症状は一時的に「SketchyPhysics」の機能を無効にすることで回避している。


RoundCorner(ラウンドコーナーツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=20485

グーグルスケッチアップ 無料ダンロード
 Free Download
2014/10/24:追記
SketchUp8の日本語版は、以下のサイトからダウンロードできるようである。
http://c7bingo.blogspot.jp/2015/05/google-sketchup-8.html

添付ファイル 添付ファイル


須弥壇のモデリングと次の目標

Sketchupを勉強し始めて一ヶ月が過ぎた。

3Dは面倒で難しい事が心構えの前提条件だったが、目の前にある三段カーラーボックスなどから練習を始め、ちょっとしたものは作る事ができるようになった。

ひと月程度の経験では到底及ばないだろうと予測していた寺院などの須弥壇が図面通りの正確な寸法で意外と簡単に作れてしまうようだ。

これまで2dのCADで書き溜めてきた図面がSketchupを通してすべて3Dに書き直される日がくる事が夢ではなくなった気がする。


※上のモデルは須弥壇のエビ束部分の腰彫刻を外したもの。足以外の部品は東西共通で使われる事が多い。


上は、須弥壇の足とこうべ板、エビ束部分を拡大したもの。




■つぎの立体化はこれ!

下は、1988年から本格的にCADを使い、仏壇の図面化を始めた頃、量産用に特化させて設計・図面化した典型的な京型の上置タイプ。

彫刻や金具は専門に依頼するため、木地だけの設計となる。

これよりはるか後に某新聞でCADによる日本初の仏壇図面化が始まったとして他社の紹介がされていたが、こちら(鹿児島県の川辺)ではすでにPC9801シリーズによる200機種近くの各産地向けCAD図面化が終了していた。(木地は、一機種あたり、簡単なもので30枚程度、複雑なもので、60枚近くの図面で構成される。)

いずれ、伝統的工芸品として認定された川辺仏壇の中から、代表的な機種を抜粋し、図面一式をSketchUpでモデリングしながら、実習(練習?)を兼ねて紹介できればと思う。




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