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木工・矩形3枚組継ぎ

前の矩形相欠継ぎよりねじれに強い3枚組継ぎ。
説明の必要が無いほどよく見かける加工の一つだが、昇降盤やカッターによる機械加工が多い。





※添付データはSketchUp 6で保存
添付ファイル 添付ファイル


木工・木地パーツ・障子框

加工機械の進歩に伴い、独自の構造が作り出され、独自の呼び名も生まれているが、家具の木地構造と仏壇の木地構造は、基本的な部分で違いは少ない。

下は、障子框と呼ばれる部分で、中に紗(シャ)を挟んだ二層の組子がセットされ、高級なものには銀杏面が施される。

留形三枚組継ぎと呼ばれる基本構造仏壇の障子框の組構造
障子組子組子の組構造(相欠き)
障子組子は専用の組子挽き割り機で加工し、厚みが2.2ミリ。
框(かまち)は量産化に伴い、モルダーで長材加工されるようになった。



【留形組継ぎ・メス】




【留形組継ぎ・オス】



※添付データはSketchUp 6で保存
添付ファイル 添付ファイル


木工・浄土台

今回は、伝統的工芸品として製作されている仏壇の浄土台に挑戦してみた。
複雑な加工を施す猫戸の框枠やその裏当てで使う出面木弧(モッコ)と蒔絵板、指掛けの付いた錫杖付き大引出しなど、家具に無い、そこそこの複雑さがあり、代々受け継がれて来た伝統的な構造で設計されている。


猫戸框の構造はフレームと出面モッコ、引手金具と蒔絵板からなる。

まだ、宗教物に対して初心者だった頃、デザインや構造などの開発設計を任され、宗教や伝統の流れの中での決まり事に拘束されてしまい、新たな製品生み出す事の難しさを知った。

例えば、形状もさることながら、引出しのスラセは敷居に傷を付けないよう、2ミリ高い設計であることや、下地や漆などの塗代(ぬりしろ)を産地に合わせた設計で行うなど、積み上げる階層や構造によっては予め5ミリ以上も差し引いた設計にしなければならない部分もある。
そんな決まり事をまとめて作り上げた、木地設計に関する手順書の項目は数百にも及び、産地ごとの分類まで含めると数千を超える。

仕上げ塗りが施されていない木地の段階では、家具などと異なり、仮組するとグラグラするほどゆるい設計となるが、仕上がった段階では塗料が乗り、きっちりと収まったホゾに縦長で重量ある胴体を支える部分が輸送中に壊れないよう、胴締めなどと呼ばれる神輿にも似た独特の縄締めまで施され、ビクともしない頑丈な仕上がりになる。
仏壇は、伝統の中で生みだされてきた、匠と呼ばれる先人達が作り上げた知恵の結晶と言える。

浄土台組立完成図
浄土台集成単位の展開図



大引き出しの錫杖部分は前框にテーパを付けて繰り抜いたもの。その後、指掛けなどの追加加工が施され再び収められると鋸代分が差し引かれてテーパの勾配分ほど出面として飛び出る仕組み。寸分の狂いもない精巧で緻密な加工が必要である。



今回の作業結果から、直接SketchUpで立体図面を起こして作業するより、線の概念だけで済む使い慣れた二次元のCAD(jwwや、木工専用cad)で手っ取り早く設計し、後でSketchUpに読み込んで加工した方が簡単で効率が良いように思えた。
(これは慣れだけの問題かもしれない。)


円弧端点の伸長

時折、実に単純な作業にもかかわらず操作に悩む事がある。
下の図を見てほしい。

目的とする図形
現在の図形

図のように、円弧の前方に引かれた直線まで途切れた円弧の両端を伸ばしたい場合、現在では「2Dツール」のような便利なプラグインがあるため簡単に実現できてしまうが、まだまだ経験が浅く発想の乏しい初心者としては、「2DToolsプラグイン」に出会うまで、下のような面倒な手順を踏んでいた。

(1)端点を伸ばしたい円弧をグループ化する。
(2)円ツールを選択し、円弧の中心を推定機能を使って探り、円の中心として固定。
(3)円弧のどちらかの端点に吸着させて同じ経の円を作成。
(4)直線からはみ出した余分な円弧を削除し、新しく描いた円弧をグループ化し、非表示にする。
(5)最初にグループ化させておいた円弧を選択し、消去。
(6)直線まで延長した円弧を表示して作業完了。
つまりは元図を上からなぞった書き換えである。

作業手順動画




次に「2D Tools」プラグインを利用して同じ作業をした場合、僅か数工程で済んでしまうのが解る。
巨大な円弧や、いくつかの円弧を接円して出来た楕円状の端点延長などはとても役立つプラグインである。

2D Toolsを使って作業した場合の動画


「2D Tools」プラグイン入手先
[Plugin] 2D Tools
YouTubeによるツールの説明動画


fillet.rb (フィレット・プラグイン)について

繋がったエッジに簡単にフィレットできる便利なプラグインがある。
fillet.rbで、使い方はすごくシンプルで予めフィレットするエッジを選択しておき、ツールを起動し、半径を入力してエンターするだけのもの。

閉じたエッジも空いたエッジも条件(2本以上交差しないこと)を満たす限りフィレットできる。
(※エッジより設定した半径の方が大きい場合、その延長線上に円弧が描画される)









個人的に英語が苦手なため、誤訳覚悟でGoogleなどの翻訳サイトを利用し、メッセージ部分のみ添付ファイルのように日本語化して利用している。


MakeFace での作業について

「FreeDXF」で取り込んだ図面を立体化する際、「MakeFace」を利用する事で効率よく作業ができる。

【読み込む図面が単純な場合】
(1)「FreeDXF」で図面を取り込む。
(2)メジャーツールで二点間を測り、実際の図面寸法に合わせる。
(3)読み込んだ図面上で右クリックし、表示されたコンテキストメニューから「分解」を二度実行し、図面全体のグループを解除する。
(4)作業の邪魔になる寸法線や寸法を極力消去する。
(5)「MakeFace」を実行し、閉じたエッジすべてに面を張る。
(6)立体化する面を選択し、移動ツール+Ctrlキーで空いた作業空間にコピーを取り、立体化し、必要な単位だけグループ化する
(7)必要な部品だけ(6)を繰り返し、完成するまで組み立てる。

下の動画は、実際の作業風景である。
完成までの時間は再生時間そのままであり、同じ作業をLightWaveで行った場合、30分以上はかかりそうである。

別ウィンドウの大きい画面で再生



●動画で作業したパーツは、伝統的な京型仏壇の中腰と呼ばれる三割で彫刻が施される装飾部分である。

移動ツール+Ctrlキーでコピーを取って作業をしているのは、より複雑な図形を処理する場合、エッジを重複(共有)して利用している場合があるため、元の図形を残した方が問題が少なく、効率が良いからである。


木工・木地パーツ・繰上げ天井

【仏壇の木地・繰上げ天井の話】
寺院などで見かける繰上げ天井は、少し高級な仏壇の内部でも見ることができる。
もともと寺院の内陣を主体に再現した仏壇の(最近では少し傾向が変わってきたが)宮殿の天井部分がそれにあたる。

小型から大型まで、産地によって実に様々なタイプの仏壇が存在するが、すべてのパーツが、宗教や古建築に基づき、実に細かな取り決めのもと、携わる木地士によって設計されてきた。
(大型で複雑な構造の仏壇でも、基本的にほぼ同じ構成をとる。)

三十年近く前から書き起こした図面は共通フォーマットとも言えるdxf形式に変換していたため、LightWaveを使用し、数百を超える部品を3D化してきた。
もう少し早くSketchUpの存在を知る事ができていれば、この数倍の作業をこなしていたかもしれない。



実際の読み込み時に表示されるダイアログは英語だが、すべての文字と寸法が必要なため、作業中の図面はスクリーンテキストを「Yes」にして読み込んである。





FreeDXF v057で過去の図面を読み込み、立体化作業中の様子





完成後、関連するパーツと組合わせていく。





作成した碁やエビの構造拡大図。この上に更に細い格子の組子が配置される。



エッジに対して垂直に面を配置するプラグイン

Perpen.jpg
【Perpendicular Face Tools】

3Dの空間に好きな角度で書き込んだエッジに対し、常に垂直に面を配置できるプラグインが紹介されている。
線で描いたスプリングなどは微妙な傾斜角度を持つため、軸に対して垂直に面を配置するのは案外難しい。

"Perpendicular Face Tools" プラグインで上記の問題が簡単に解決する。
添付ファイル 添付ファイル


基礎の覚え書き2:四角錐と円錐

【肝はフォローミーツールの使いこなし】
当初、簡単な三角錐や四角錐、円錐などの単純なオブジェクトすら、その作成方法に頭を悩ませる事が多かったが、これまで他で培ってきた手順の既成概念を持たず、思いつくまま試行することで色々見えてくるSketchUP独自の機能もあった。

仮に、四角錐を作る場合を例に、

【例1】
1...長方形ツールで必要なサイズのボックスを描く
2...線ツールで描いたボックスに対角線を引く
3...移動ツールで対角線の頂点(交点)を摘んで必要な高さに持ち上げ、立体化する(この状態では底に面が貼られていない)
4...任意の底辺に一本のエッジを追加し、底の面を貼って完成

※ 出来上がった四角錐の面が反転している場合はさらにオブジェクト全体を選択状態にしておきコンテキストメニューから「面を反転」を選んで処理を完了させる。




※上の実際の作業手順を、左上から右下方向に順に掲載




【フォローミーを使って円錐を作る場合】

様々な手法があるが、円錐を作る単純な例。

【例2】...次に続く


基礎の基礎の覚え書き

SketchUpの使い方は数多くのサイトで紹介されているため、あえて覚え書きの必要がないかもしれないが、自らが覚えるためと、その都度探す手間を省く意味においても、必要最小限、記録する事にした。

シンプルなツール群の中でSketchUpを格段に使いやすくしてくれている、固有の機能が推定エンジンと呼ばれる機能だが、しっかりした基礎と応用を身に付ける前に少しでも楽をしようと数倍の苦労をしてプラグイン探しに陥ってしまっている。


個人的に利用頻度が高い拡張メニュー。複雑な処理以外はほとんどこの範囲で足りてしまう。



【推定エンジンによるヒント表示】

「端点」、「中点」、「交点」、「面上」、「エッジ上」
「緑の軸上」、「赤い軸上」、「青い軸上」、「点から軸上」、「エッジに並行」、「エッジに垂直」
など、マウスでモデル上を動かすと、該当する推定点でヒント表示される。
アイデアと機能が一体化され、操作のコツさえ掴めば効率の良い作業が見込まれる。


SketchUPで作図中、特に便利と感じる機能が数値パラメータの入力の際に、「/」や「*」、「s」などのオペレータとオペランド?を兼用して記述できることで、通常の数値入力と違い、多角形や円の作図時にエッジの分割数を数字の末尾に「s」を付ける事で指定でき、エンティティーの等間隔配置では「/n」(nは数値)を、またn個(回)同じ操作を繰り返すときは「*n」などと指定する事ができ、作業の効率化が図れる。


これまでの3D作品

図面の立体化はその視認性を高め、勘違いによる加工ミスを防止するのにも役立つ。

過去の経験では、複雑な三面図を現場が読み違えてしまったため、取り返しがつかないほど高額な損失につながってしまった事もあった。

密度の高い複雑な図面になるほど読み違えによるミスのリスクは高くなり、頭の中で立体的に組み立てる想像力や、図面を読み解く解読力も要求される。

ワイヤーフレームだけで構成する図面が複雑化すると仏間に収まる程度の大きさの仏壇でも1万本以上の円弧と線で密集する。


下は、書き溜めた二次元の図面を、LightWave3Dで立体化するときの様子。

Windows95の時代から始まった3D化は Soft F/X の購入と同時に始まり、レンダリングした際のイメージのわかりやすさと、そのリアル感に感動した。
後に、ドングルの必要なLightWaveに3D化の作業を引き継ぎ、現在まで利用してきた。


■jwwCADによる二次元の図面


■LightWaveによる図面の立体化作業。
モデリングの流れとしては、DXFの2D図面をインポート→尺度を合わす→各パーツごとレイヤーに区分けして立体化→保存
これを一機種すべての部品に行い、最後に保存した部品を一つづつインポートして全体を組み立てる。


■ワイヤーフレームでのパース表示


■ウェイトシェイドでのパース表示
陰線処理され、この時点で出来上がりのイメージがよりリアルになる


■組み立てたモデルをLightWaveのLayoutでレンダリング
表面だけを着色した処理だが、実際の出来上がりとさほど差異はない。


これまでの3D化は、2Dよりはるかに辛く長い作業になる傾向が強かったが、SketchUpの登場で一気に払拭されたように感じる。
事実、同じ部品をモデリングしてもLightWaveの半分の時間もかからない。


Sketchupのプラグインについて

二次元での図面書きに慣れていたため、Sketchupの描画コマンドの少なさに戸惑ってしまったが、慣れるまでは様々なプラグインを探しては追加して補う事結果になってしまった。

これまで多用してきたコマンドは原点の移動や、補助線、補助点、線の分割、オフセット(または複線)接円弧など様々だったが、Sketchup独自の推定機能がこれらの補助機能に取って代わる事を知り、今では必要としないほど便利な事がわかった。

・・・とは言え、これ等のプラグインを利用する事で作業効率化の手助けとなり、大きなメリットがある。

2Dで作図したこれまでの資産を活用できるFreeDFXのプラグインや、二次元の感覚を手助けてくれる2D toolsなど、必要になるたび追加していけば良いと思う。

【2Dtools_4.9.zip】



他に、ラウンドツールや、ベジエ曲線、ブーリアンなどのプラグインが存在し、作業効率化に大きく貢献してくれそうである。
以下は現在までにSketchupにプラグインして利用しているツール群である。
サイトに無料のユーザー登録をする事でダウンロード可能となる。


BZ_Toolbar(ベジェ曲線ツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=13563


【extrudeTools_20110529.zip】

ExtrusionTools(押出しツール)



OSCoolean(ブーリアンツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=14773

オブジェクトを右クリックする事で利用できるコンテキストメニューの「面を交差」でブーリアン演算のかなりの代用ができるが、これがあると一瞬で処理が終わるため便利。

物理演算をシミュレートしてくれる「SketchyPhysics」プラグインとの干渉がみられ、個人的なシステムの問題なのか、原因は不明。

「2D_Tools」プラグインのフィレット部分でも干渉がみられる。(同じコマンド内で、ラウンドだけに症状が現れ、ベベルは正常に機能する。)これ等2つのプラグインの症状は一時的に「SketchyPhysics」の機能を無効にすることで回避している。


RoundCorner(ラウンドコーナーツール)
http://sketchucation.com/forums/viewtopic.php?t=20485

グーグルスケッチアップ 無料ダンロード
 Free Download
2014/10/24:追記
SketchUp8の日本語版は、以下のサイトからダウンロードできるようである。
http://c7bingo.blogspot.jp/2015/05/google-sketchup-8.html

添付ファイル 添付ファイル


須弥壇のモデリングと次の目標

Sketchupを勉強し始めて一ヶ月が過ぎた。

3Dは面倒で難しい事が心構えの前提条件だったが、目の前にある三段カーラーボックスなどから練習を始め、ちょっとしたものは作る事ができるようになった。

ひと月程度の経験では到底及ばないだろうと予測していた寺院などの須弥壇が図面通りの正確な寸法で意外と簡単に作れてしまうようだ。

これまで2dのCADで書き溜めてきた図面がSketchupを通してすべて3Dに書き直される日がくる事が夢ではなくなった気がする。


※上のモデルは須弥壇のエビ束部分の腰彫刻を外したもの。足以外の部品は東西共通で使われる事が多い。


上は、須弥壇の足とこうべ板、エビ束部分を拡大したもの。




■つぎの立体化はこれ!

下は、1988年から本格的にCADを使い、仏壇の図面化を始めた頃、量産用に特化させて設計・図面化した典型的な京型の上置タイプ。

彫刻や金具は専門に依頼するため、木地だけの設計となる。

これよりはるか後に某新聞でCADによる日本初の仏壇図面化が始まったとして他社の紹介がされていたが、こちら(鹿児島県の川辺)ではすでにPC9801シリーズによる200機種近くの各産地向けCAD図面化が終了していた。(木地は、一機種あたり、簡単なもので30枚程度、複雑なもので、60枚近くの図面で構成される。)

いずれ、伝統的工芸品として認定された川辺仏壇の中から、代表的な機種を抜粋し、図面一式をSketchUpでモデリングしながら、実習(練習?)を兼ねて紹介できればと思う。




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